映画DJらかん
鹿児島市医師会病院研修医の小徳羅漢です!
小徳は2年間の研修の最後の月
3月を緩和ケアの研修にしました
2年間、僕たちは治療すること、治すこと、診断することを勉強してきました
いかに患者さんの身体の異常を早期に見つけて、正確な治療方法を提供するかを磨いてきました
そんな中でも、助からない患者さん、治らない患者さんと出会って
自分の力不足や医療の限界を感じていました
「先が見えないのが本当にやだ。どうせなら早く死にたい」
1年目の麻酔科を回っている時に緩和ケアの患者さんに言われました
なんて声をかけたら良いかわからなかったからバケットリストって映画の話をしました
末期がん癌患者の二人が病室で出会って、バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)を書いて一個ずつ実際に叶えてく話
一つ一つ叶えてくうちに本当に自分がしたかったことがわかっていく
そんな映画
「あんた意外とロマンチストなんだね」って笑顔になって
「その映画観てみたいな」って言われて
「そしたら僕が上映会やりますよ!」って約束したけど
そのあとカンボジアとか甑島に行ったりバタバタしてる間にその患者さんは亡くなっちゃいました
患者さんが「つらい」、「死にたい」って言った時にみなさんはなんて声をかけますか?
「大変ですね」とか「辛いですね」って共感の言葉は大事だろうけど
そんな一言で済まされないのが患者さんの人生だし
あなたの人生は本とか映画で言うと〇〇ですねって若造に言われるのも失礼だろうけど
本とか映画の力はすごい
「死にたい」ってさっきまで言ってた患者さんが笑うんです
俺のバケットリストに「この映画を病院の講堂で放映会する」を加えよう!!
俺は患者さんの気持ちに寄り添う映画DJになるんだ!!
傷ついた観客の気持ちに寄り添った映画を流し、心をgrooveさせる映画DJと
患者さんの気持ちに寄り添って、共感し、共に歩む緩和医療は同じなのかもしれない
緩和ケアと映画DJは一緒なのか!?
そう思って、やっと緩和ケアを回ることになって
企画書を提出したんですけど
死の内容を題材にした映画を流すのは緩和ケアでどうなんでしょうって話し合いになって
そもそも、痛がってる患者さんが二時間近い映画を見れるのかとか
外国の映画を高齢者がわかるのか
とかとか色んなことを言われました
ということで、まずは小徳の持ってる映画で万人受けしそうな映画を探して
これにしました!
「美味しいご飯」と「家族」は人間の永遠のテーマでしょう!!
なんとか師長からOKをもらい
倉庫からスクリーン引っ張りだしたり
看護助手の門田さんにホコリかぶった暗幕を洗ってもらったりしてなんとか
緩和ケア病棟に映画館を作りました
ここが、俺が映画DJとして初めて回す箱か、、、
チラシを3日前から病棟に貼って
いざ、当日
たまたま、待合室にいたら急に映画を流されてびっくりされている家族
お父さんはずっと雑誌読んでた
92歳のKさん
結局、看護師さんがバタバタと忙しそうにしている中
92歳のKさんと一時間くらい映画鑑賞していました
「Kさんは外国の映画は見たことありますか」
「ありません」
「海外に行かれたことはあるのですか」
「はい、満州に行ってました」
twitterとかラテンミュージックとか、洋画感ばりばりの映画で
なんだか申し訳ない気持ちになりながら映画をみて
一時間くらい経ってKさんが眠たくなってしまい帰る時に
「面白かったですか」と聞いたら
「はい、世の中には多様な生活があるんだと知ることができました」
観客はKさん一人だったけど
Kさんありがとうって気持ちになりました
前日までは「見に行く」って言ってた患者さんも次の日はきつくてだめだったり
あ、今日だったのかーって忘れてたり
映画DJの難しさを実感しました
でも、いつか患者さんの、家族の、スタッフの心をアゲれる映画DJになれるよう頑張ります